円形脱毛症
脱毛症には数多くの種類があり、原因も症状も様々です。原因が違えば治療法も異なり、回復するかどうかの経過も違います。
まずは頭皮の状態、毛包の状態を診察し、判断していきます。
原因
何らかの精神的なストレスがあった後に脱毛がはじまる患者さんもいらっしゃいます。
しかし、多くの方ではストレスと直接的な関係なく症状がはじまっています。
ウイルス感染症や肉体的疲労、出産など、精神的ストレス以外がきっかけと考えられる方が多くおられ、円形脱毛症=精神的ストレスが原因、
という従来の考え方は見直されています。
円形脱毛症では、病原体などから私たちのからだを守るはずの「免疫」が間違って毛をつくる毛包を壊してしまうことが原因で毛が抜けます。
遺伝については家族内発症があり、多因子遺伝性と考えられています。
症状
円形脱毛症では主として丸い形の脱毛斑が生じます。脱毛斑の部位は頭部のみならず、毛髪が存在するあらゆる部位に発生し汎発型と呼ばれる型では体毛すべての毛が脱毛します。
自覚症状はないことが一般的ですが、脱毛前に軽い掻痒感や違和感、淡い紅斑を認めることもあります。
脱毛症状の経過は様々で自然軽快もする一方、脱毛斑の融合や拡大・縮小、再発を繰り返し慢性に経過することもあります。
その他、細菌・真菌(かび)などの感染や内科的な病気(甲状腺疾患、膠原病など)、薬剤や放射線治療の副作用によっても脱毛症となりえます。
治療法
単発型から融合傾向のない多発型の円形脱毛症に関しては、ステロイド外用療法が有効で、必要に応じて抗ヒスタミン薬やセファランチンの内服、カルプロニウム塩化物の外用療法
などが追加されることもあります。多発型で急速に症状の進行する場合にはステロイド内服やステロイドパルス療法が検討されます。
円形脱毛症が出現しおおよそ半年をこえて脱毛斑が残る場合は、ステロイドの局所注射や局所免疫療法を行います。当院でも患者様の症状に応じて治療をさせていただきます。
また、15歳以上で難治性、広範囲の円形脱毛症に対して新しくバリシチニブ(JAK阻害薬)の内服が適応となりましたので、必要に応じて病院をご紹介させていただきます。