腋臭症
underarm-odor

腋臭症

腋臭症とは、わきの下が特異な悪臭を放つ場合を言い、「わきが」とも呼ばれています。欧米ではある程度生理現象として認識されていますが、東アジアではにおいや衣服の黄ばみなどに嫌悪感を抱く傾向があり、実際お悩みの方は潜在的に多いのではないかと思います。

原因

皮膚にはエックリン腺とアポクリン腺の2種類の汗腺(汗を出す器官)がありますが、腋臭の原因となるのは主に後者で、アポクリン腺の分泌亢進に起因します。アポクリン腺はわきの下だけでなく、外耳道、まぶたの縁、鼻、乳輪、外陰部などの毛穴に分布し、その汗に含まれる脂質・タンパク質が皮膚表面の細菌の作用で分解され特有のにおいを生むとされています。アポクリン腺の発達には遺伝的素因、性ホルモン(思春期から発症)などが関与するほか、腋毛の量、精神的素因(ストレスや緊張など)、スポーツによる発汗もにおいの発生に関係しているようです。

症状

わきがの症状は、わきの下から発生する独特の強い臭いです。
「独特の」と書いた通り、わきがの臭いは通常の汗の臭いや体臭とはまた別物です。この臭いが、わきがかそうでないかを決める要素になるのです。

わきがの臭いには個人差がありますが、以下のように例えられることが多いです。

・硫黄のようなニオイ
・香辛料の効いたスパイシーなニオイ
・玉ねぎのようなつんとしたニオイ
・鉛筆の芯のようなニオイ

治療法

①外用療法

簡便で侵襲も少ないことから塩化アルミニウムローションの塗布が第1選択となります。1日1回~数回程度腋窩に塗布します。
副作用としては薬剤による皮膚炎がありますが、間隔を伸ばしたり、ステロイド軟膏投与などで炎症を緩和しながら継続することが可能な場合もあります。保険適応外です。

②ボトックス注射

外用療法では効果が不十分な場合にはボツリヌス毒素の注射を行います。
ボツリヌス毒素が神経と汗腺の接合部における伝達を阻害することで、発汗を抑制します。
効果は4~6か月程度なので、夏のみ多汗が気になる場合には1年に1回、通年症状が強い場合には1年に2回注射を行います。注射前に冷却し、疼痛を軽減しますが、片方のワキで注射を20回ほど行うため、疼痛があります。日常生活に頻繁に支障があるような重症多汗症の場合には、保険適応となります。

③手術

皮膚の下のアポクリン腺を切除する方法です。皮膚を1か所か2か所、4~5cmほど切開し、皮膚をめくり上げ、ハサミを用いてアポクリン腺を取り除きます。アポクリン腺が残っていると再発する可能性があります。また、めくり上げてアポクリン腺を取り除いた部分の皮膚は血の巡りが悪くなり、腐ってしまうことがあるため、しばらくはガーゼなどで圧迫し、運動を制限する必要があります。