しみ
stain

しみ

シミとは、メラノサイトから生成されるメラニン色素が肌に沈着したものの総称です。メラニン色素が肌に蓄積したままになることによって、地肌の色より濃く見えてしまう部分をシミと言います。

通常、シミのもととなるメラニン色素は、肌のターンオーバーという肌の生まれ変わりの仕組みによって自然に排出されます。しかし、加齢、不規則な生活やストレス、喫煙や飲酒などの影響でターンオーバーが乱れると、肌の奥にメラニン色素が蓄積してしまい、シミになってしまうのです。

消えやすいシミは、ターンオーバーによってメラニンが自然に排出されることが特徴。一方、消えにくいシミは、肌の土台にできた穴にメラニン色素を生成するメラノサイトが落下し、メラニン色素が排出されにくくなっていることも。

原因

シミの原因は、肌の基底層で作られる「メラニン色素」です。紫外線ダメージやスキンケア時の摩擦など外的刺激を受けると皮膚は細胞を守ろうとメラノサイトを刺激してメラニン色素を生成します。また紫外線によって発生する活性酸素や、炎症によってもメラニン色素は増加します。

通常の肌であれば、「メラニン色素」が生成されても、肌のターンオーバーとともに自然と排出されていくのですが、加齢やストレス、ホルモンバランスの乱れなど何らかの要因によってターンオーバー(肌の生まれ変わり)に乱れが生じたり、過剰にメラニンが生成されると、肌内部にメラニン色素が蓄積、沈着して「シミ」ができてしまいます。

症状

老人性色素斑

境界がはっきりした褐色、または黒っぽいシミで、米粒大から数センチのものまで大きさは様々です。紫外線が原因となってできるシミで、主に中年以降、早い方は20代から出現します。
頬骨など紫外線のあたりやすい部分や手の甲や前腕等にもできやすいのが特長です。

雀卵斑(じゃくらんはん)

いわゆるソバカスのことです。直径3~5ミリの小さな茶色い斑点が頬や鼻周りに多く見られます。幼児期からみられ、思春期に目立つように。遺伝的要因が強いものですが、紫外線により悪化も。

肝斑(かんぱん)

頬骨上や頬、鼻の下、額、口周りなどに左右対称にできるシミ。TVのCMで一躍知られるようになりました。地図のような形状をしているのが特長で、30~40歳代に発症年齢が集中しています。症状が見られるのはだいたい50歳代後半までです。女性ホルモンが大きく関与していると言われ、妊娠中やピル服用中などにできやすいシミです。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

両側の頬骨のところを中心に、褐色から灰褐色、紫褐色や青みがかった色素斑が増えてくる疾患です。 ADMは別名、「両側性太田母斑様色素斑」とも呼ばれ、太田母斑という青アザの仲間で真皮(皮膚の深いところ)にメラノサイトがある色素病変です。
「肝斑」と思われて来院される患者様の中に、このADMの方が多いのも事実です。実際は「シミ」ではなく、「アザ」の一種なので、治療には回数を要します。

炎症後色素沈着

ニキビやケガ、火傷をした皮膚が炎症を起こした後にできるシミ。炎症後色素沈着は、ターンオーバーとともに、しだいに消えることが多いのですが、皮膚の炎症が悪化して色が濃くなってしまった部分は、消えずに残ることもあります。虫さされの跡が残ったり、ムダ毛を処理して毛穴が黒ずんだりすることがありますが、これも炎症後色素沈着の一種となります。色素沈着をおこした場所が紫外線を浴び続けると、色がだんだんと濃くなっていくので、注意が必要です。

シミの種類も色々ですが、シミの見え方も人によって違いがあります。

色素沈着が肌の浅い部分にありメラニン色素の量が少ない場合は、淡褐色で、その深さや量が増すほど、黒褐色や黒色に近くなります。青や紫がかった色素沈着は、ターンオーバーが行われない表皮の奥の「真皮層」で起きていると考えられ、軽減しにくいという特徴があります。

当院では医師がそういった症状を見極めながら治療を進めていきます。
また、患者様にご自身のシミの種類・症状を知っていただくこともシミ治療をおこなうために大切と考えています

 

治療法

しみの治療というとレーザー治療が広く知られていますが、肝斑では一般的なレーザー治療の効果が期待できません。かえって色が濃くなってしまう場合があります。そのため、肝斑ではアミノ酸の1種であるトラネキサム酸や、ビタミンCの内服、メラニン合成抑制剤(ハイドロキノンなど)の外用薬で治療を行うのが一般的です。

ホルモンバランスの変化に伴って発生・悪化しやすいため、女性ホルモン剤を服用している場合にはホルモン剤の中止も考慮されます。ホルモンの影響であれば、出産後やホルモン剤の中止によってよくなることが多いといわれています。

このような治療でも効果が現れない場合は、“レーザートーニング” という低いエネルギーでかさぶたを作らないように照射をするレーザー治療が検討されることもあります。

肝斑の発生・悪化を防ぐためには、第一に紫外線を避けることが大切です。帽子や日傘、サングラスなどを使用したり日陰を歩いたりして、紫外線対策を行いましょう。また、肝斑は肌への物理的な刺激も発生・悪化の原因になります。洗顔時にごしごしと顔を洗ったり、過度にマッサージしたりと刺激を与えないように注意しましょう。

注意点

しみを長年放置したままにしておくと、イボ状に隆起し、「脂漏性角化症」という老人性のイボに進展することもあります。

また、長年紫外線を浴び続けて光老化がすすむと、皮膚がかさかさしたうろこ状やかさぶたのようになることがあります。これは「日光角化症」といい、まれに皮膚癌の元になることもある病変です。

たかがしみ、痛くもかゆくもない…と軽く考えていると思わぬ病気が潜んでいることも。シミに似た症状が出る病気として、「表在型基底細胞癌」「悪性黒色腫(悪性黒子)」などの皮膚癌、体内に摂取された薬剤によってできる「固定薬疹」、「ボーエン病」などがあります。
胸・腹・背など、日光に当たらない部位に発生する、シミの中にただれができる、徐々に盛り上がってきた、発熱を伴うなどの症状が出てきたら、すぐに受診をしましょう。