やけど
burn

やけど

やけどは医学専門用語として「熱傷」とよばれ、熱による皮膚や粘膜の外傷を言います。軽いものをふくめると一般の方もよく見たり、聞いたりしたことがあると思いますし、皮膚科でよくみるありふれた疾患です。高い温度の物質が皮膚に一定時間以上接するとやけどとなります。もちろん炎や爆発などの高温でもやけどになりますが、40-55度くらいのそれほど高い温度ではないものでもやけどになることがあります。

皮膚が薄い子供や老人の方や成人でも深く寝込んでいるときには比較的低い温度でも持続的に加熱されることでやけどとなってしまいます。これは低温熱傷というやけどの一種で深いやけどが多いのが特徴です。やけどでは直後から赤み(発赤)や腫れ(腫脹)が出てきますが、その後も腫れやみずぶくれ(水疱)が数日進行します。

原因

やけどの原因として、液体ではヤカンや鍋のお湯、天ぷら油、コーヒーやお茶、味噌汁などの熱い飲み物、カップ麺などが多く報告されています。 そのほかに高齢者や小児では高温の浴槽での事故もみられます。 また固体としてはストーブやアイロン、ホットプレートなどがあります。

症状

やけどの重症度は下に示すように、傷害された皮膚の深さと面積によって分類されます。

Ⅰ度
表皮内の熱傷。皮膚の赤み、むくみが生じます。痛みは強いものの、通常、数日で治癒し、傷跡も残りません。

Ⅱ度(浅達性)
真皮浅層の熱傷。皮膚の赤み、むくみに加えて水疱(水ぶくれ)が生じます。鋭い痛みを伴い、通常、1〜2週間で跡を残さないことが多いです(色素沈着を生じることがあります)。

Ⅱ度(深達性)
真皮深層の熱傷。赤み、むくみ、水疱を生じます。皮膚付属器(体毛、汗腺など)や神経終末も障害されるため、痛みは浅達性より強くなります。通常、3〜4週間で治癒しますが、瘢痕形成することが多いです。

Ⅲ度
皮下組織まで及ぶ熱傷。水疱は形成せず、血管傷害によって皮膚は白色(または黒色)になります。また、知覚神経傷害により痛みはほとんどありません。通常、治癒までに1ヶ月以上かかり、肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮(ひきつれ)を起こしやすくなります。

治療法

【応急処置】

受傷してしまったら、まずはすぐに冷やすことが重要です。水道水で構わないので、少なくとも20分程度は流水で流すことで、症状が進むのを抑え、痛みを和らげる効果があります。洋服を無理矢理脱ぐことで、傷害された皮膚も共に剥離してしまうため、まずは衣類の上から水で冷却して下さい。これらの障害が出現するかどうかは、はじめの熱傷の重症度が大きく関与し、治療途中に感染をきたすと上述のような障害が出現しやすくなります。そのため、初期であればあるほど治療の重要性は高く、早期の受診が奨められます。

【初期治療】

治療の目的は、①熱傷の進行を防ぐこと、②感染を起こさないようにすること、の2点が重要となります。
インターネットでの誤った情報や民間療法によって傷が悪化する場合も少なくありません(例;アロエが良いと聞いてアロエの葉を熱傷部位にひもで縛りつけていた、など)。

【上皮化した後の治療】

初めに上皮化(傷が覆われた)した時に終了ではありません。Ⅲ度熱傷や一部の深達度Ⅱ度熱傷においては、数週間から数か月にかけて徐々に創部が肥厚し、かゆみや痛みを発生することがあります。初期においては予防しやすく、治療を自己判断で終わらせることなく、特に親族にケロイド体質のいる方は上皮化数か月後まで治療を続けることが重要です。