帯状疱疹
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帯状疱疹

帯状疱疹とは、痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染では水痘(みずぼうそう)になりますが、
この時に主に皮膚にでた発疹から神経を伝わって所属の後根神経節内にウイルスが潜伏するといわれております。
後根神経節内に潜伏感染していたウイルスが何らかの誘因で、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。

誘因として過労や悪性腫瘍の合併を含めて宿主の免疫機能の低下、手術や放射線照射などがあげられます。
ウイルスが再活性化されると神経節内で増殖し、知覚神経を通って表皮に達し、表皮細胞に感染しそこで更に増殖して、
赤い丘疹や水疱が神経の走行に沿って帯状に出現します。他のヒトから感染して帯状疱疹になるわけではありません。

原因

体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。
主に子どもの頃に、このウイルスにはじめて感染すると、水ぼうそうを発症します。
そして、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄から出る神経節という部位に潜んでいます。

普段は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、
免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。
そして、ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症します。

症状

片側の神経分布領域に一致して神経痛様疼痛、知覚異常あるいは痒みが数日から1週間続き、
やがて虫さされのような浮腫性の紅斑が出現します。

この時期に軽度の発熱やリンパ節腫脹、頭痛などの全身症状がみられることもあります。
間もなく紅斑上に小水疱(みずぶくれ)が多発し、水疱は中央にくぼみがあります。
内容は初め透明ですが、黄色い膿疱となり、6~8日で破れてびらん(ただれ)または潰瘍になります。
皮疹の出現後1週間までは紅斑や水疱が新生し、皮疹部の拡大がみられますが、
以後治癒に向い、約2週間でかさぶたとなり、約3週間でかさぶたは脱落して治癒します。

治療法

年齢が若いから軽症ですむとはかぎらず、その患者の抵抗力により重症度が決定されます。
初期に軽症であっても、無理をすることでいくらでも重症化する疾患です。

帯状疱疹は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)の全身投与を出来るだけ早期に開始することが大切です。
重症なものは、入院して抗ウイルス薬(アシクロビル、ビダラビン)の点滴静注が必要です。
局所は、初期では非ステロイド抗炎症薬、水疱期以降では細菌二次感染を防ぐために化膿疾患外用薬、
潰瘍形成したものでは潰瘍治療薬を貼布します。

注意点

帯状疱疹は免疫能力、特にVZVに対する特異的免疫が低下すると発症する疾患で、誰でも罹患しうる疾患です。
水痘罹患や水痘ワクチンを接種してVZVの抗体を持ったものの約20%が罹患すると云われております。
特に、細胞性免疫が低下するAIDS、白血病、悪性リンパ腫などの患者に罹患しやすく、老人も罹患しやすいといえます。
90歳以上のヒトではその半分は罹患すると考えられています。

しかし、統計的にみると20歳代と50歳代にピークがみられ、
これらの年代では周囲に水痘患者がいない年代で、VZVの免疫にブースターが罹らないためとされています。
季節的には決算期、連休後、お盆後、12月の暮れなど疲労が重なる時に多くみられます。