けが(切り傷、すり傷、裂傷など)
形成外科では顔面、手足などのけがをできるだけ早く、目立たなく治るように治療を進めます。
特に顔面の深い傷では傷あとが目立たなくなるように「真皮縫合」を行う場合があります(*傷の状態、部位によっては真皮縫合ができない場合もあります)。
皮下(真皮)を溶ける糸で縫合することによって傷を寄せ、幅が広がるのを防ぎます。真皮縫合を行った場合でも、皮膚表面をより正確に合わせるために、さらにナイロンの糸で縫合します。抜糸した後も傷あとが目立たなくなるようにアフターケアを指導致します。
けがは受傷の原因、受傷時の状態によって分類します。
切創(切り傷)
ガラスや刃物などの鋭利なもので切れたいわゆる「切り傷」です。皮膚以外にも神経や血管の損傷を伴うことがあり、さらに顔では涙や唾液を運ぶ管(涙小管、耳下腺管)、手足では指を動かす腱の損傷を伴うことがあるため、形成外科での専門治療が必要となります。また、切創は鋭利な傷のため出血が多く、止血を目的とした処置が必要な場合があります。
擦過傷(擦り傷)
転んで地面にこすれたりすることで皮膚がすりむけてしまうけがです。皮膚の損傷自体は浅く、多くの場合縫合は行わず、軟膏を用いた湿潤療法で治療を行います。しかし、傷の中に微細な土砂、ゴミなどが埋入し、治ったあとも皮膚のなかに黒く残ってしまう場合があるので初期治療が大切です。
裂挫創(皮膚が裂けた傷)
鈍的外傷により生じた皮膚の損傷で、切創に比べて傷口周囲の損傷が高度なことが特徴です。
刺創(刺し傷)
先端の尖った器具(鉛筆の芯など)が突き刺さって生じる創で、傷口が小さくても深いことが特徴です。時に器具の先端が折れて残存し、摘出が必要になる場合もあります。
咬傷(咬みきず/ヒト咬傷、動物咬傷)
ヒトや動物に咬まれた後に生じる創傷です。歯型の傷が特徴的です。
歯に付着している雑菌が体内に押し込められることにより、受傷後の感染の頻度が最も高い創傷のひとつです。縫合すると感染のリスクが高くなるため、多くは開放創として治療します。